T-F-Cアーカイヴ展示について

■展示構成

■展示の指針① 中沢新一「対称性の知性」(「変容の岬」より)

時間の意識は、言語の構造とつながっている。そのために「対称性の知性」がとらえている世界には、ふつうの意味での時間のオーダーがない。過去・現在・未来が同じ空間に共存できるのである。(中沢新一「変容の岬」)

→「過去・現在・未来」の「変容」のサンプルを「アーカイヴ・カード」にして同じ空間に並列化(juxtapositioning)する。

[名称] アーカイヴカード
[作者] R.L.A.T.
[時代・地域] 2010年 日本
[サイズ] 205mm×272mm

【アーカイヴカード・リスト】(一部)
[名称別]  りりこ/鉄男/ねこぢる/真悟/村崎百郎/シマダマシン/ロボゲイシャ/目玉おやじ/テムザックIV号機/カメレオンマン/寝子/ベルセルク/狼男/ユ ピック族のシャーマン/ぶたぶたくん/ヤング・フランケンシュタイン/にゃーことにゃっ太/十二類合戦絵巻/ロボットスーツHAL/妖怪人間ベム/セドナ /ラックフット族の呪術師/キョンシー/太陽神ホルス/仮面ライダー/筋電制御義手/人魚のミイラ/ダーレク/付喪神/AIBO/ローセルのヴィーナス/ ゴッグ/人工眼(網膜移植型)/百鬼夜行/ウルトラマン/ダフト・パンク/不思議の国のアリス/悪魔の毒々モンスター/ジャミラ/ラスコー洞窟の鳥男/機 関車トーマス/魔人ドラキュラ/マシュマロ・マン/地獄の王子/オムニボット2000/クレクレタコラ/600万ドルの男/眠り男/人造人間キカイダー/ アヌビス/そのほか正体不明のもの多数
[作者別] 飴屋法水/オナ族/三浦建太郎/水木しげる/ベラクーラ族/酒井駒子/フランシスコ・デ・ゴヤ/楳図かずお/ザ・レジデンツ/塚本晋也/トマス・へフナー /円谷プロダクション/ヒエロニスム・ボッシュ/土方久功/ジョージ・A・ロメロ/井口昇/ルイス・キャロル/原田電子工業/ツィムシアン族のシャーマン /山野一/フィリップ・バーン=ジョーンズ/土佐光信/サモ・ハン・キンポー/サイバーダイン社/ダフト・パンク/トミー社/ジョゼッペ・アルチンボルド /磯野理/SONY/カレル・チャペック/マイケル・クライトン/HONDA/アドルフ・ヴェルフリ/石森章太郎/マサチューセッツ工科大学・エレクトロ ニクス研究所/レヴランド・ウィルバート・オードリー/ルーブ・ゴールドバーグ/そのほか作者不明のもの多数

ものごとの全体的なつながりがとらえられている。そこで個物の意味は全体から分離できないことになる。「対称性の知性」のとらえる宇宙には、孤立した事物は存在しないのである。(中沢 同上)

→「生命の樹」の図によって「人間」と「自然」との種のつながりを示す。

[名称] 「生命の樹 (TREE OF LIFE)」
[作者] ヒリス&ブル研究所
[時代・地域] 2005年 米国
[サイズ] 1,800mm×1,800mm / 1,450mm×1,450mm

[解説] テキサス大学オースティン校のヒリス&ブル研究室が制作したこの図は、約3,000の生物種から採取した小サブユニットrRNA配列の分析に基づいて制作されています。ここに名前があがっている生命体は、地球上に存在する種のなかで公式にその存在が記録され命名された1,700,000種のうちのわずか約0.18%にあたるものです。この図は、グラフィック・デザイナーのブルース・マウが監修した「マッシヴ・チェンジ=途方もない変化」展(2005年)でも紹介されました。このデータは、研究目的の非商用使用に限り、ヒリス&ブル研究所より無償で提供されています。「国際生物多様性年」にあたる本年、本展での展示を承諾してくださった同研究所のデヴィッド・ヒリス教授に感謝します。

対称性の心的空間では、情動と知性は一体になって働く。ここでは感覚的なものの組み合わせが、独特の論理をもった世界をつくりあげることもできる。知的なものが感覚的情動的なものを排除し抑圧することがないのも、「対称性の知性」の特徴である。(中沢 同上)

→展示に情動的な「音」(鳥や動物の鳴き声、ヒトの声、雨、風の変化の音)を加える。


[名称]「トランス-フォーメーション-サイクル展のためのサウンドトラック」(試作版)
[編集] イルコモンズ
[音源] NASA(※パブリックドメイン音源)
[画像] メディアコモンズ(※パブリックドメイン画像)

ふつうの心がつくりあげている世界では、矛盾はできるだけ排除されているが、この対称性の世界では矛盾したもの同士が、そのまま共存しあっている。現実の表面では相容れない事物が、潜在空間では一つにつながっている様子を、「対称性の知性」は察知する。そのために、ここではふつうの論理ではなく、矛盾したものが交叉してつながっている様子を表現する「キアスム(交叉法)の論理」が使われる。(中沢 同上)

→分野や時代を横断する「カード」の配列によって「交叉」を示す。

アナロジーではちがうもの同士が、表面にあらわれていない通路で結ばれる。つまり、現実の表面では「ゼロ」として扱われるなにものかが、対称性宇宙をまとめあげているのである。そのために、「対称性の知性」が働いている世界では、ふつうの論理ではなく、ゼロ(核)の積極的な働きを組み込んだホモロジー論理学だけが通用できる(中沢 同上)。

→「生命の樹」の円の中心を「空」として示す。

■展示イメージ図

■展示の指標② 長谷川祐子「立ち去れない場所」より

「SANAAの作品に共通するいくつかの特徴は、「ユーザーたちがその場を共有しつつも、各々が好きに過ごす」という多様性の尊重からきている。プログラム間のヒエラルキーの削除や、プログラムの機能的要請と空間形成のフレキシブルな関係の創出といった形で実現される。プラン作成においてとくに見られる特徴は、①基本的な機能が必要最小限に絞り込まれ、②各機能がそれぞれの顔(デザイン)をもち、③ユーザーがその間を自由に移動でき、④諸機能や空間がなんらかの形で外に向かってできるだけ開いている、ということである。」

■変容の指標

■他なるものへ (Becoming Others) [BO]
動物・昆虫・植物・鉱物・気象・天体・道具・機械など、ヒトがヒト以外の「他なる存在」へと変化する場合。また「ヒト」から「他者」への変容など。

 

■ヒトのかたちへ (Becoming Human) [BH]
動物の擬人化、精霊の化身、人間型のロボットなど、生物・非生物・人工物がヒトの姿形や心性を得る場合。また「他者」から「ヒト」への変容など。

 

■超人へ (Transcending Human) [TH]
人間が生まれながらに身につけている条件や身体能力の限界を超え、人間の心を持ったまま、並はずれた力をもつ英雄的存在に変容する場合。または、超越化された人間像への変容など。

 

■怪物へ (Transcending Nature) [TN]
人間や非人間のもつ容貌が奇形化し、自然界に存在しないハイブリッド(雑種・混種)や、分類することのできない存在に変容する場合。または、超越化された自然像への変容など。

 

■展示の指針③ レヴィ=ストロースの神話研究における「情報カード」

「神話のテキストは極度に彪大である。それらを構成単位に分解するには、共同作業と技術員が必要である。中程度の大きさのブァリァントでも、数百枚のカードを充たす。そして数多のヴァリァントを比較するために、三次元のモデルをつくろうとすれば、ヴァリァントと同数の分類装置にあわせて、それらを動かしたり配列したりするのに十分な空間がすぐ必要になる。そして最後に、準拠体系が三次元以上にわたるようなものになると、パンチ・カードと計算機を使用する方法に助けを求めねばならない。あらゆる神話は、したがって、いってみれば、くりかえしの手続きの中で、またこれによって、表面に透けて見える薄片のような構造を保有している。しかしながら、各薄片はけっして厳密に同一ではない。もし神話の目的が矛盾を解くための論理的モデルの提供にあるということが本当なら、ひとつひとつ前とはやや異なるような薄片が、理論上は無隈数生み出されることになる。神話は、その誕生を促した知的衝撃が尽きるまで、螺旋状に発展するだろう。したがって神話の成長は、あくまでも非連続的なその構造と反対に連続的である。その位置は、実際、分子の統計的集合と分子構造自体との中間物である結晶体のそれに似ている。」(「神話の構造」より)

■展示の指針④ アヴィ・ヴァールブルクの「ムネモシュネ-アトラス」

「民俗芸術と工芸品とを美術と同質の表現史料として照合すること」
(アヴィ・ヴァールブルク「イタリア美術とフェラーラのスキファノイア宮における越境的占星術」より)

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■クレジット
[展示名] 「R.L.A.T. アーカイヴ/トランス-フォーメーション-サイクル」
[構想/制作期間] 2010年7月1日~10月28日
[監修] 中沢新一+長谷川祐子
[企画/制作] 変容人類学研究室 (R.L.A.T.)
[調査/研究] 石倉敏明+大澤紗蓉子
[展示設計・構成・デザイン] 小田マサノリ
[カード編集] 大澤紗蓉子
[カード執筆] 荒井保洋+石倉敏明+大澤紗蓉子+小田マサノリ+小高日香理+中尾拓哉+和田真文
[カード翻訳] 川上純子
[カードデザイン] 小田マサノリ+中尾拓哉
[施工] スーパーファクトリー+株式会社ヤマト
[印刷](※「生命の樹」ほか) スーパーファクトリー
[WEB] 小田マサノリ

謝辞
アーカイブの制作にあたり、下記の関係者・関係機関のみなさま方に多大なご協力を賜りました。心より感謝申しあげます。(五十音順・敬称略)

飴屋法水/井口昇/石ノ森章太郎/磯野理/イルコモンズ/楳図かずお/ATR知能ロボティクス研究所/大阪大学 大学院基礎工学研究科 システム創成専攻 知能ロボット学研究室(石黒研究室)/岡崎京子/株式会社ADK/株式会社 石森プロ/株式会社 偕成社/株式会社 角川グループパブリッシング/株式会社 角川コンテンツゲート/金子雅是/株式会社 小学館/株式会社 小学館クリエイティヴ/株式会社 祥伝社/株式会社 ステュディオ・パラボリカ/株式会社 青林堂/多摩美術大学芸術人類学研究所/株式会社 円谷プロダクション/Dr. David Hillis/株式会社 データハウス/株式会社 テムザック/株式会社 タカラトミー/株式会社 白泉社/株式会社 福音館書店/株式会社 文藝春秋/株式会社 ポプラ社/株式会社 水木プロダクション/CYBERDYNE株式会社/川上純子/酒井駒子/佐野誠/白土三平/ソニー株式会社/高城昭夫/筑波大学大学院システム情報工学研究科山海嘉之研究室/東映株式会社/東宝株式会社/Tree World Thailand/塚本晋也/東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所/東京都現代美術館/テキサス大学オースティン校ヒリス&ブル研究室/Toastie/中沢新一/西川美穂子/二瓶総合法律事務所/長谷川祐子/橋本瑛史/原田電子工業株式会社/はらだゆきこ/ヒントン実結枝/本田技研工業株式会社/有限会社 マコトヤ/三浦建太郎/水木しげる/村穂秀児/森園みるく/山野一/吉崎和彦

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